保育士の裏側

元保育士が綴る保育士のなり方や仕事内容から人間関係など裏側をお伝えします。

保育士試験ってどんなの?受験資格や費用、合格率など、気になるアレコレを解説!

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保育士になるには、保育や幼児教育の専門課程を修めていなければならないと思っていませんか?


実は、資格試験を受験することにより、専門教育を受けた人たちと全く同じ「保育士資格」が与えられるのですよ。


そして、その試験は、意外にも多くの方が受験できる、非常に開かれたものであるのです。

 

しかし、その姿かたちがなかなか見えないことから受験に踏み切れない人も多いのだとか…。


ならばお教えしちゃいましょう!

 

今回は、保育士試験を突破して保育士になった私が、自身の経験を踏まえながら「保育士試験って何?」を解明していきます。

 

 

 

保育士試験とは?


一定の試験をクリアすれば、大学や短大で専門的に学んだ人たちと同じ保育士資格が得られるというものです。
つまり、取得したその日・その瞬間から、保育の専門家である保育士として現場に立つことができるのです。

では、どのような試験が待ち構えているのでしょうか?

 

どんな試験なの?


筆記試験と実技試験によって評価されます。

筆記試験は、保育原理・教育原理・児童家庭福祉・社会福祉・社会的養護・保育の心理学・子どもの食と健康・子どもの保健・保育実習理論9科目を全て受験する必要があります。


厚生労働省が規定する出題範囲の中で、保育にかかる概要や、時事的な問題点を問われる問題、児童福祉にかかる法律ども自体のことなど、その幅は実に多岐にわたっています。


それもそのはず。

通常、大学や短大で数年間かけて学ぶことが、網羅されているのです。

 

保育士資格取得と運転免許取得は似ている…!?

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例えるのならば、自動車の運転免許を取るのに、通常は教習所や合宿などで専門的かつ集中的に学んで実践へと活かすところを、いきなり免許試験場に乗り込んで行って飛び込みで試験を受験するようなものでしょうか。


全くもって違法性はなく、寧ろ正攻法ではあるものの、しっかりとした知識や確固たる意志がなければ相当困難であるとされている点では、共通していると言っても良いでしょう。

 

また、筆記試験は概ね5択のマークシートで行われるところも、運転免許試験との共通項とも言えます。


ただ、すべてが択一式というわけではなく、一問に関して複数の回答がある場合もあり、より細かく専門的な知識が問われることとなります。

 

試験は、筆記だけでは終わらない…!

 

この、難攻不落とも言える筆記試験を突破すると、実技試験が待ち構えています。


音楽・造形・言語の3つの中から2つを選択して、実技試験当日に行います。

 

音楽は、課題曲2曲があらかじめ決まっておりピアノ・アコーディオンアコースティックギターを用いての弾き歌いが必要となります。
演奏が上手なだけでもダメ、歌が上手なだけでもダメと、2つのことを同時にバランスよく行うことが求められます。

 

造形は、保育にまつわる風景を絵画にて表現する試験です。
素描から色鉛筆によるカラーリングまでを45分で行うため、構図や色づかいとともにスピード感も求められるものです。

更に、絵に登場する人物の数や風景なども決まっているため、お題に対して瞬時に構図を思い浮かべて描き始めなければなりません。

 

言語は、試験官を前に素話を行います。

ピン芸人がネタを披露するときのようなものでしょうか。
ベースとなる話はあらかじめ決まっており、そのうちの1つの話を、3歳児20名がいる場を想定し3分ぴったりで終わらせるというものです。
本やその他小道具の持ち込みは一切許可されておらず、身一つで乗り込んで行かなくてはならないため、台本を一言一句覚える必要があります。

 

これら全てをクリアして、晴れて保育士資格が得られることとなるのです。

 

受験資格は?


年齢による受験の制限はなく、学歴や職務経験によって受験資格が左右されます。

 

大学や短期大学を卒業もしくは在学中であれば、学部・学科に関係なく受験資格があります。
他にも、大学を中退していても2年以上の在学かつ62単位以上を取得済みであれば、受験資格があります。

 

専門学校の場合は、学校教育法に基づいた専修学校であることや卒業・在学している課程が2年以上の修業年限であれば受験することができます。
この場合でも、専門とする学科は問われません。

 

加えて、最終学歴が高校や中学であっても、児童福祉施設などで一定の職務経験があれば受験資格が与えられているなど、受験の門戸は広く開かれています。


また、外国籍の人や外国の大学などを卒業した人でも、これらと同様の条件で受験資格が与えられるようですが、受験前に必ず保育士試験事務センターに問い合わせるようにしましょう。


それだけ、多くの人に保育士になって欲しいという国の政策が関与しているとも言えそうです。

 

日程は?


長く年1回の試験実施でしたが、近年の保育士不足の情勢などを受け、年に2回受験できるようになりました。


受験時期は春(前期)と秋(後期)となっています。

 

平成29年度前期の場合を例に挙げると、

 

受験申請の受付:平成29年1月5日~31日
筆記試験受験票送付:4月6日~12日
筆記試験実施日:4月22日・23日
筆記試験結果通知・実技試験受験票送付:6月3日~11日
実技試験:7月2日
格通知書・一部科目合格通知書送付:8月5日~13日

 

となっており、申請から受験終了まで、実に半年以上もの時間を要すこととなっています。

 

受験費用は?


受験にかかる手数料は12950円必要となります。


郵便局の窓口にて一括で支払った後、その「振替払い込み受付証明書(お客さま用)」という票を、受験申請書に貼り付ける必要があるため、願書郵送よりも前に先払いしておく必要があります。


この際、ATMでの払い込みはできないため、郵便局の窓口営業時間内に払い込みを済ませる必要があります。

 

因みに、受験申請の手引き自体には費用は発生しませんが、願書を取り寄せるのに郵送で請求する場合には、所定の郵送料金がかかります。


また、受験にかかる手数料の中に、受験申請の手引きの郵送料として250円が一律で含まれています。

 

この費用は、受験2年目以降の一部科目合格者や初回受験者などを問わず、一律で同額の手数料がかかります。

 

合否はどうやって出されるの?


筆記・実技ともに60点以上の獲得で合格となります。


一度合格になると、他に不合格の科目があっても3年以内であれば合格している状態が保たれます。

 

例えば、筆記試験にて「保育原理」に合格し、「保育の心理学」が不合格であったとすれば、次回の受験時は「保育原理」の試験は免除されるのです。

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 また、筆記試験9科目全てに合格しなければ、実技試験に進むチャンスすら与えられません。


つまり、合格科目を複数持っていても、3年以内に全科目にて合格できなければ、再度筆記試験を受け直さなくてはならないのです。


このループにはまり、長年受験し続けているという人も少なからずいらっしゃるようです。

 

合格率は概ね20~30%程度となっていますが、一部科目合格者はこれには含まれていないため、真面目に勉強していて「全科目まったくダメだった!」というケースはあまりないようです。

 

また、児童福祉施設などで現職にある場合は、合格科目の免除期間延長制度というのを利用できる場合もあります。

個々人の状況により、延長できる・できないが異なるようですので、詳細は、全国保育士養成協議会へ問い合わせなければならないようですm(__)m