保育士の裏側

元保育士が綴る保育士のなり方や仕事内容から人間関係など裏側をお伝えします。

大歓迎!?それとも…?保育士試験合格者が保育園で働いてみたら、どうなった!?

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難関試験を突破し、晴れて保育士資格を取得された皆様、おめでとうございます!ヾ(〃^∇^)ノ

 

せっかく保育士資格を取得したのですから、やはり、保育現場にてその手腕を発揮したいところですよね。


しかし、資格は同じ「保育士」なのに、大学や専門学校で保育を専攻した人と「保育士試験合格者」では何か違うような感じがしてしまいませんか?

 

何を隠そう、私がそうでした(^^;
以前、「保育士試験と運転免許試験が似ているのでは?」などと書いたように、「飛び込みで試験を受けて保育士になった!」との感覚が、どうしてもあったのです。

 

それゆえ、「いつかは保育現場に出たいけど、その姿がなかなか想像できない」という人も多いのではないでしょうか。

処遇・待遇に差が出る?や、現場での空気感は変わる?など、気になることを挙げ始めるとキリがありません。

 

そもそも、保育士試験合格者で現場に出ている保育士なんて、まだまだ少数派です。
体験談が少ないことも、不安を呼んでいる原因と言えるでしょう。

 

新しい世界に飛び込むのは、誰だって悩みや心配事が伴います。
でも、大きな期待感やワクワクドキドキも同時に持ち合わせることができますよね♪

 

保育の世界では「少数派」とされる私が見てきたもの・感じたことを、余すところなくお伝えいたします。

 

 

 

勤務条件や待遇には差はありません!


まず、気になるのが、働く上での条件に差はあるのか?ということですよね。


こちらは、結論から言ってしまえば、学校で資格を取ろうが、試験で資格を取ろうが、その採用条件や勤務開始後の諸条件に差は付けてはいけないということになっています。

資格の取得方法に違いはあれど、どちらも立派に認められた「保育士」なのですから、至極当然のことでしょう。

 

私の場合は、採用された瞬間から、正規の保育職員になりました。
求人票から給料が低くなることや、勤務時間が長くなる、研修期間中は時給制になる…などということは一切ありませんでしたよ。

 

初任給は、大卒の有資格者と同額ですし、交通費も全額支給、賞与だってもちろんあります。
各種社会保険も完備されていますし、有給休暇も法定通りかそれ以上にきちんと設定されています。
(ただ、実際の有給休暇の取得は、なかなか困難なものがありましたが…(^^;)

 

実際に勤務を始めるにあたっても、いきなり「クラスリーダーになりなさい!」「1教室に居る複数の子どもを1人で保育しなさい!」ということは、まずありません。


クラス担任になる可能性はありますが、1クラスにつき複数の保育士が担任となることが原則であるため、大きく心配する必要はありません(*^_^*)

 

保育士試験合格者、大歓迎!その理由は?


「そもそも大学などで専門課程を修めていなければ、保育士として採用されないのでは…?」との心配の声も聞かれますが、そんなことは全くありません!

 

むしろ、どの保育現場も保育士不足に悩まされ、猫の手も借りたい状態(^^;
無資格者でも保育補助にと採用している現場も多いため、有資格者ならば一層歓迎される傾向にあります。

 

しかし、人員不足解消だけに留まらない、こんな理由もあるのです…!

 

保育現場としての視野が広がる


保育士試験合格者の多くが保育以外の教育課程を修了していたり、保育以外の職種を経験しています。
その「異業種経験者」ならではの意見や視点は、保育現場にとっては全て新鮮なものです。

 

つまり、一方向に凝り固まりがちな保育現場に、新しい風を吹かせることができるのです。

 

このような異業種経験者は、特に施設管理者・運営責任者に歓迎される傾向があります。
「現状の保育をより良くしたいんだ!」という前向きな気持ちを、他ではないあなたに求めているのです。

 

保護者の気持ちに寄り添える


保育園を利用する子どもの保護者の大多数は、保育とは全く関係のない一般企業にお勤めの方ばかりです。
毎日家庭と職場で各々の職務を全うすることは、そう簡単にできるものではありませんよね。

 

しかし、一方の保育士はというと、保育の現場でしか勤務経験がない人がほとんど。
社会で働く大多数の人が身を投じている状況など、知る由もないのです。


それゆえ、保育園本位で考えることが一般化し、どうしても保護者の状況をないがしろにしてしまいがちです。

 

例えば、「あなたのお子さんに37.5度以上の発熱があった。直ちに迎えに来てください!」などということが堂々と言えてしまうのもこのためです。

 

この対応は、保育園を運営する上では正しい言動なのですが、こう言われて、職場で懸命に職務を全うしている保護者の方からすれば、いかがなものでしょうか?


お仕事の状況によっては、すぐに現場を離れられないこともありますよね。
かと言って、我が子のことはとても心配…。
胸騒ぎを抑えつつも、何とか冷静になって優先順位を考え、行動しなければならないこととなるのです。

 

つまり、この場合、保育士の伝え方や対応さえ工夫できれば良いのですが…
保育園=社会である保育士には、なかなかその考えが至らない点もあるようです。

 

以上の点からも、一般企業で勤務を経験したことがあり、保護者が状況を察知できる人材は、保育現場には貴重な存在なのです。


社会生活の何たるかを、保育以外の現場で得た視点で捉えることができ、「保護者にとっても、子どもにとっても最適なことは何か?」を見出すことができるのです。

 

何だか冷たい…その理由は?


大歓迎のムードが漂う一方で、「あれ?何か違う?」との違和感を覚えることもあります。

 

特に、現場を共にする保育士の大多数は、あなたとは違う道を歩んできた人ばかり。
そんな人たちの醸し出す、独特の空気感を、私も感じることとなったのでした(;^ω^)

 

保育専門の課程を修めていない


現場保育士は、2年ないしそれ以上に大学などで保育士としての専門課程を修了した人ばかり。
つまり、「しっかり学んできた」「経験値がある」というプライドがあるのです。

 

また、こうした、たたき上げの保育士からすれば、保育士試験の合格者は「出たとこ勝負で保育士になった」というふうに見られる傾向にあるようです。
保育の専門知識が低く、「未熟」との烙印を押す保育士も少なからず居ます。

 

子育て経験者なら多少のアドバンテージはあるものの、そうでない場合は、ハッキリ言って、「新卒より使えない職員」という視線で見られてしまうこともあるのだとか。

 

試験の程度はなかなかもって難解なものであったので、「適当に過ごしていて保育士になった」というわけではないことは周知の事実なのですが…
そうは言ってもなかなか理解しがたい部分があるのでしょうね。
酷な話です(´-ω-`)

 

実習・実務の経験がない


保育士試験の内容は、筆記・実技の両方の合格をもって資格を与えられます。

 

しかし、その実技試験には、「日常の保育における実務」はありませんよね。
ピアノが弾けても、絵が上手でも、お話しが楽しくても、これらが日常の場面で活かされるのは、ほんの一部にしか過ぎません。

 

保育士最大のミッションとも言える、「保護者が迎えに来るまで、子どもをケガさせることなく預かる」を遂行するには、不十分なのです。

 

私は、まだ自身の子育てがあったので食事介助やおむつ替えなど日常的なことは、特別教わらずともこなせました。
しかし、他所様の子どもを複数見るとなると、全く別のこととなります。
気力も体力も、自分の子育ての何倍ものパワーが必要となるのです。

 

また、保育現場側も、実務経験がない人に対して手取り足取り教える時間や人員の余裕がありません。
それゆえ、「知らないからできない」という人には、どうしても冷遇されがちな現場となってしまうのです。

 

聞いて実践!見て覚えろ!というスタイル


一般企業すべてに当てはまるかは定かではありませんが、新入社員に対しては、少なくとも最初は研修や勉強会などがあったり、先輩社員に仕事を教えてもらいつつ業務をこなすもの。

それというのも、高い人件費を費やしてまで採用した新入社員を、立派な「企業人」に育て上げたいから。
そのためには、仕事の意義・企業のルールひいては社会全体の流れを理解させることが必須となるからなのです。
なので、黙っていても仕事が用意されて、先輩社員が手取り足取り教えてくれる…という流れが一般的になりがちです。

 

しかし、保育現場の場合、多くは、研修も説明も何もなく、現場にて保育を即実践することとなります。

 

私自身も、認可保育園の初出勤の日には、「はい、タカハシ先生は今日からここの担当だから」と、ポイっと現場に放り込まれて終了~でした。
子どもの名前もわからなければ、一緒に働く保育士の名前・教室の中でのモノの配置などなど、いつ・何を・誰と・どうすれば良いのかということを全く知らされていない状態。
まさしく放置プレイそのものでしたΣ(゚Д゚)

 

「わからないことは随時聞くように!」というスタイルなのですが、聞いたところできちんとした回答があるとも限りません。
そりゃあ、周囲には待ったなしという状態で子どもが居て、彼らの保育を最優先させなくてはなりませんのでね(^^;

 

「見て学べ・見て覚えろ」という、どこか職人的な観点がありました。

 

ただ、だからと言って憶測で動いてしまっては、思わぬ事故に繋がることもあるため、「ま、イイか♪」と簡単に見過ごすこともできません。


多少イヤな顔をされても不明点を解決しておくという、厚かましさにも似たガッツは必要かも知れませんね。


実際、勤務してみてどうだった?


ここからは、実際に保育園で働いてみたことで感じたことをお伝えしていきます。

100%、私の経験による独断と偏見なので、全ての方に当てはまるとは限らないのですが…。
ひとつの体験談としてご覧ください(^^♪

 

ハリのある毎日!


保育の流れは存在しますが、単純作業のルーティンワークにはなりません。

毎日同じ子どもが登園し、同じように時を過ごすこととなるのですが、その中身は日々刻々と進化していくのです。
同じ時は、二度と訪れないのです!

 

子どもが日々の生活からぐんぐん成長していくのを目の当たりにし、私自身も刺激的でハリのある毎日を送ることができました。
デスクに張り付いていたのでは、絶対に味わうことができない貴重な体験であったように思います。

 

これはもう、「子ども」という、血の通った人間と生活を共にしている醍醐味と言って良いでしょう。

 

保護者の反響も上々!


私が保育士試験にて資格取得した保育士だということは、特に保護者に対してオープンにしていたわけではありませんでした。

 

しかし、日々の会話や連絡帳でのやり取りなどから、「タカハシ先生は、他の先生方と違う気がする…」と言われることが増えていきました。

 

私の場合は、自身の子育て経験や、自分の子どもと保育園の関わりから、「保育士さんにこうあって貰えれば嬉しい!」というポイントを少なからず心得ていました。
自らが「保護者」として得た考え方を、自分の保育や保護者対応に取り入れていたので、自然と保護者にも喜ばれることとなっていたようです。

 

先ほどの、「37.5度の発熱だから、お迎えに来て!」というものでも、事実を伝えつつも「大切に預かっていますので、ご安心ください」という一言を添えるようにしていました。
たった一言ではありますが、それだけでも、かなり印象が違うものですよ。

 

「出身校」で繋がる保育士


実は、保育士同士の「学閥」のようなものがあり、出身大学や専攻科、はたまた卒論ゼミの担当教授などによっても派閥が生じていました。

 

出勤初日のちょっとした空き時間、ある先輩保育士に「タカハシ先生はどこの大学出身なの?」と聞かれました。
デリカシーの無い質問だなと思ったものですが、その先輩保育士は、悪気も他意もなく、単純に会話のキッカケとして発した言葉だったようです。

 

私の場合は、語学系の大学院修了というのが最終学歴であったため、正直にそう答えたら、ドン引きされてしまいました( ゚Д゚)
その時点でもう、若干の村八分状態です(^^;

 

それ以来、何かを話し合いにて決める際にも、何かと「大学院卒の賢いタカハシ先生はどうですかぁー?( ̄▽ ̄)」なんて。


また、私以外でも、地元の名家のご令嬢が通うような学校の出身者の保育士は「〇〇先生はお嬢様だから、こんな庶民の話わかんないよねぇ~( ̄▽ ̄)」などと言われたり。
何かにつけて、出身校いじりはされましたね。

 

良くも悪くも世間ずれしておらず、ちょっとした時代錯誤のようなところは、あるかも知れませんね。

 

マイノリティゆえの苦悩と楽しみ


同じ境遇の仲間がいない。相談できても共感できる人が居ないというのは、なかなか辛いものです。

 

私の場合は、同じ保育園に保育士試験にて資格取得した保育士は、私以外には居ませんでした。
それゆえ、日常で感じているちょっとした疑問や疎外感などを話したり共有できたりする相手を、身近に感じることができなかったのです。

 

だからといって、一緒にクラス担任をしている保育士はもちろん、園長・主任などの管理職にも、胸の内を話すことができず、大多数の中に居るのに「何だか寂しいかも…」などと感じていたものでした。
人と違うことをするって本当に難しいですね。

 

ただ、これが最大のメリットでもあるのです!
知らないことを知る、自身の見識が広がる、絶好のチャンスととらえることもできるのですよ。

 

また、他に「仲間がいない」のなら、比べられることもありません♪


同じように保育士試験合格者の保育士が居たならば、「あの先生はできることなのに、タカハシの奴は…!」と、言われることもあったかも知れません。


しかし、他に居ないとなると、「まぁ、保育士試験合格者だし、こんなもんだろう」と、良くも悪くも見逃してもらえることもしばしば。

 

割と生きやすいものでしたよ(≧▽≦)v

 

私としても、一般的に常識とされることが、保育士の世界では必ずしもそれが当てはまらないという場面を、たくさん見てきました。
同業者の中でずっと身を置いていたのなら「え?こんなことするの?(; ・`д・´)」と疑問に感じていたかも知れないことも、「わからないから、まぁ、これがスタンダードなんだ」とスムーズに飲み込むことができました。

 

互いの意識改革をももたらしてくれるとあって、長い社会人生活の中でも、なかなか得難い経験であったと記憶しています(ノ゚▽゚)ノ♪